システム開発は外注すべき？メリット・デメリットと判断のポイントを解説
システム開発を進めるうえで、「自社で開発すべきか」「外部の専門企業へ依頼すべきか」に悩む担当者は少なくありません。
近年はDX推進の加速により、AI・クラウド・データ基盤など高度な技術を扱うケースが増え、社内リソースだけでは開発が追いつかない状況も多くなっています。
本記事では、システム開発を外注するメリット・デメリット、外注によって実現できること、依頼時の注意点をわかりやすく解説します。外注を前向きに検討している企業担当者の方に向けて、新しい一歩を踏み出す判断材料を提供します。
システム開発を外注すべき？判断のポイント
システム開発を外注すべきかどうかを判断する際は、まず社内のリソース状況を確認することが重要です。以下のような状況に当てはまる場合は、システム開発の外注が必要です。
- 社内リソースだけでは開発が追いつかない
- DX推進の加速で専門スキルの需要が高まっている
- レガシーシステムの刷新が求められている
- 作りたいシステムのスペックと自社の技術力が釣り合わない
システム開発を外注することによって、開発品質の向上やプロジェクトの加速が期待できます。
システム開発を外注するメリット
システム開発を外注すると、自社では確保が難しい専門スキルや開発リソースを素早く補えます。また、専任体制で進められるため開発スピードが向上し、結果的にコストを抑えられる場合もあります。
システム開発を外注するメリットについて、以下から詳しくみていきましょう。
必要なスキルを即座に確保できる
システム開発を外注する最大のメリットは、必要なスキルセットをすぐに確保できる点です。
AI、クラウド、モバイルアプリ、データ解析など、専門性の高い技術は社内で育成するのに時間とコストがかかります。一方、外部の開発会社はすでに専門チームを持っており、プロジェクトの要件に合わせて最適な人材をアサインできます。
特に上流工程を含むシステム開発では、要件定義・設計・開発・テストと幅広い経験が求められるため、外注によってスキルのギャップを確実に埋められる点が大きな魅力です。
開発スピードが向上し、リリースまでの期間を短縮できる
システム開発を外注すれば、開発スピードを大幅に引き上げることができます。
社内チームだけで進める場合、日常業務との兼務や人員不足により、プロジェクトが遅延しやすくなります。一方、外部企業は専任体制で開発に取り組むため、計画通りに進行しやすく、リリースまでの期間を短縮しやすい点がメリットです。また、プロジェクト管理や進行ノウハウを豊富に持っているため、課題発生時の対応も迅速です。
事業のスピード感が求められる現代では、外注によるリードタイム短縮は競争力強化に直結します。
内製よりもトータルコストを抑えられる場合がある
一見すると外注はコストが高いように見えますが、実際には内製よりも総額を抑えられるケースも多くあります。理由は、エンジニアの採用・教育・定着の費用や、スキル不足による手戻りリスクが発生しないためです。
また、開発会社はプロジェクト単位で契約できるため、必要な期間だけコストをかけられる点も効率的です。特に高度な技術が必要な場合や、スポットでの開発には外注が適しており、結果として無駄な投資や長期的な人件費を抑えることにつながります。
最新技術への対応がしやすくなる
外注を活用すれば、最新技術への対応がスムーズになります。技術動向は変化が激しく、社内だけで常に最先端のスキルをキャッチアップするのは容易ではありません。
外部の開発会社は複数のクライアント案件を通じて最新トレンドに触れているため、最適な技術選定やアーキテクチャ設計を提案できます。また、クラウド・AI・API連携など、将来的な拡張性を考慮したシステム構築も得意です。
結果として、自社だけでは実現が難しいスピード感と技術力を手に入れられる点は、大きなメリットといえます。
システム開発を外注するデメリット
システム開発の外注にはメリットが多くありますが、一方でデメリットもあることを理解しておきましょう。
外注の場合、コミュニケーションの負荷や仕様変更時の追加費用などの注意点があります。また、開発会社に依存しすぎると、自社にノウハウが蓄積しにくくなるリスクもあります。これらの特性を理解したうえで進めることが大切です。
システム開発を外注するデメリットについて、以下から詳しく解説します。
ベンダーとのコミュニケーションコストが発生する
外注では、ベンダーとのやり取りに一定のコミュニケーションコストが発生します。
システム開発は要件のすり合わせや仕様確認が欠かせず、認識のズレがあると手戻りが生じるため、定期的な打ち合わせや資料作成が必要となります。また、開発会社側は自社の業務背景をすべて理解しているわけではないため、初期段階では情報共有に時間がかかります。
しかし、このコミュニケーションを丁寧に行うことで、品質の向上やトラブル防止につながるため、あらかじめ工数として見込んでおくことが大切です。
仕様変更のたびに追加費用がかかる場合がある
外注開発では、契約時に定めた範囲を超える仕様変更には追加費用が発生するケースが一般的です。
開発が進む中で「やっぱりこの機能も必要」といった要望が出ることはよくありますが、そのたびに工数やスケジュールを見直す必要があり、結果として予算が膨らむ可能性があります。
これは品質管理の観点からも避けられないプロセスであり、外部パートナーに依頼する以上、明確な要件整理と優先順位付けが欠かせません。プロジェクト開始時にスコープを固め、変更管理のルールを決めておくことで、予期せぬ追加コストを抑えることができます。
ベンダー依存が強まるリスクがある
開発を外注すると、特定のベンダーに依存しやすくなる点もデメリットです。システムの仕様や設計意図を把握しているのが外部企業のみになってしまうと、自社での運用や改修が難しくなってしまう「ベンダーロックイン」という状況に陥る可能性があります。
また、契約が終了した後に別の開発会社へ引き継ぐ場合も、理解に時間がかかりコスト増につながることがあります。ベンダー依存を避けるためには、ドキュメント整備や仕様の共有、運用担当者の巻き込みなど、社内で理解を持つ人材を育てる取り組みが求められます。
社内にナレッジ・ノウハウが蓄積しづらい
外注開発では、実際の設計・実装・テストなどが外部企業で完結するため、社内に技術的なノウハウが蓄積しづらくなる傾向があります。
これを防ぐためには、プロジェクトの進行過程で定期的に情報共有を行い、ドキュメントを受け取る仕組みを整えることが不可欠です。また、社内のPMや担当者が開発プロセスに深く関わることで、一定のナレッジを持続的に蓄積することができます。
システム開発を外注することで可能になること
システム開発の外注には、先述のようなメリット・デメリットがありますが、実際に多くの企業が外注企業と協力しあってシステム開発を実施しています。
プロフェッショナルである外注先に開発を依頼することで、以下のような効果が見込めます。
- 保守・運用の自動化による業務効率化
- データ連携・可視化による経営判断の高速化
- 現場業務のシステム化
- AI・IoT・画像認識など最新技術の導入
- 既存システムのリプレイスによるトラブル減少
それぞれ、詳しくみていきましょう。
保守・運用の自動化による業務効率化
外注することで、保守・運用の仕組みそのものを自動化する開発が可能になります。
社内で行っていた手作業によるバックアップ、ログ監視、エラー検知などをシステム化することで、担当者の負担を大幅に軽減できます。特に外部の開発会社は、運用自動化のノウハウや最新の監視ツールに精通しているため、自社だけでは構築が難しい高度な運用フローも短期間で整備できます。
結果として、システム安定性が向上し、障害対応の時間削減や運用品質の向上につながります。
データ連携・可視化による経営判断の高速化
外注によるシステム開発によって、複数のシステム間でデータを連携させ、経営に必要な指標を可視化する仕組みを構築できます。売上、在庫、顧客データなどがバラバラに管理されていると、分析のために毎回手作業で集計しなければならず、意思決定のスピードが落ちてしまいます。
開発会社はAPI連携やデータベース構築に強いため、リアルタイムでデータを取得し、ダッシュボードで確認できる環境を作ることが可能です。これにより、経営判断が迅速化され、組織全体のPDCAが加速します。
企業によるデータ活用の事例については以下の記事で詳しく紹介しています。
ビッグデータの活用法を5社の事例で紹介！収集・解析を依頼できるサービスは？
現場業務のシステム化
現場で紙やExcelを使って管理している業務は、外注によって専用のシステムを開発してもらえば、無駄のない効率化が可能です。特に、報告書作成、チェックリスト管理、在庫管理など、日々の業務で発生する反復作業は、専用システムに置き換えるだけで大幅な工数削減につながります。
社内だけで開発しようとすると要件整理や画面設計に時間がかかりますが、外注企業は類似案件の経験があるため最適な仕様を短期間で提案できます。結果として、現場の負担を減らし、属人化を解消しながら業務プロセスを標準化できます。
AI・IoT・画像認識など最新技術の導入
AI（機械学習）、IoT（センサー連携）、画像認識などの先端技術は、専門的な知識と実装経験がないと導入が難しい領域です。外注であれば、これらの技術に精通したエンジニアがプロジェクトに参画し、最適なアーキテクチャでシステムを構築できます。
例えば、工場での画像検査自動化、センサーによる設備監視、AIによる需要予測など、企業の競争力を高める施策を短期間で実現できます。社内では再現が難しい高度な技術導入が可能になる点は、外注の大きな強みといえます。
IoT開発については、以下の記事で詳しく紹介しています。
IoT開発の始め方｜基礎知識から具体的な手順、開発事例まで徹底解説
既存システムのリプレイスによるトラブル減少
外注にシステム開発を依頼すれば、老朽化した既存システムを安全で高性能なシステムにリプレイスすることができます。
「自社で簡易的にPythonなどで作られた試作品プログラムがそのまま運用される」というケースは多く、パフォーマンスやセキュリティ、例外処理が不十分なまま利用されていることがあります。外部の開発企業であれば、これらの簡易的プログラムを業務システムとして耐えうるアプリケーションに「焼き直し」し、必要なチューニングを施すことができます。その結果、障害やトラブルの発生率が大幅に減り、安心して運用できるシステムに生まれ変わります。
システム開発を外注する場合の費用相場
システム開発の外注費用は、プロジェクトの規模・機能数・技術難易度・開発期間によって大きく変動します。そのため、明確な金額を一概に示すことはできませんが、一般的には「人月（エンジニア1名が1ヶ月稼働する単位）」で費用を算出するケースが多く、要件が複雑になるほどコストが上がる傾向があります。
また、AI・IoT・画像認識など専門性の高い技術を伴う場合は、通常より高めに設定されることが一般的です。一方で、小規模な機能追加やスポット開発であれば、比較的低コストで依頼できるケースもあります。
重要なのは、仕様を固めてから見積もりを取得し、費用と期待値のバランスを見極めることです。
システム開発を外注する際の注意点
外注を成功させるには、複数社の見積もり比較や保守体制の確認などが重要です。また、経験豊富な開発会社を見極めることで、後続のトラブルを防ぎやすくなります。
以下のようなポイントを押さえてパートナーを選ぶことが、理想のシステム開発を実現させる鍵になります。
複数のサービスの見積もりを正しく比較する
システム開発の見積もりは、提示額だけで比較すると失敗しやすく、最も重要なのは「工数の根拠が明確かどうか」です。
金額が安く見えても、作業の内訳が曖昧だったり、必要な工程が抜けている場合は、後から追加費用が発生する可能性があります。反対に、適正な見積もりは要件や仕様を丁寧にヒアリングしたうえで、要件定義・設計・開発・テストと工程ごとに根拠が示されます。
複数社の見積もりを比較する際は、金額ではなく「どのような理由でこの工数になっているのか」を基準に判断することが重要です。
開発後の保守・運用体制までセットで検討する
外注では、開発後の保守・運用体制を事前に確認しておくことが欠かせません。システムはリリースして終わりではなく、障害対応、アップデート、機能改善など継続的な運用が必ず必要になります。
保守体制が不十分だと、トラブル発生時に迅速な対応ができず、社内業務に大きな影響が出てしまいます。契約前に、問い合わせ対応の方法、保守範囲、SLA（応答時間・復旧時間）、運用自動化の可否などを明確にしておきましょう。長期的に使えるシステムにするためには、「作って終わり」ではなく、運用を含めた体制設計が重要です。
実績のあるサービスを見極める
開発会社を選ぶ際は、実績の有無を重視することが重要です。過去に似た業界や規模感のプロジェクトを担当した経験があれば、要件整理や技術選定がスムーズに進み、開発の手戻りリスクも大幅に減らせます。
また、実績を公開できる企業は開発プロセス・品質管理・セキュリティ対策が整っていることが多く、安心して任せやすい点もメリットです。具体的な成果物や成功事例、クライアントの評価などを確認し、自社の課題に合った開発パートナーを選ぶことが、プロジェクト成功の鍵になります。
システム開発の外注ならシルク・ラボラトリ
システム開発を外注する際は、要件定義から設計・開発・運用まで一貫して支援できる開発会社を選ぶことが重要です。シルク・ラボラトリは、業務改善やDX推進を見据えたシステム開発に強みを持ち、最新技術の導入や既存システムのリプレイスにも対応可能です。
外注で発生しがちな認識ズレや手戻りを防ぐためのコミュニケーション体制も整備しており、安心して長期的なパートナーとして任せられる開発会社です。企業ごとの課題や業務フローを丁寧にヒアリングし、最適なアーキテクチャや機能構成を提案いたします。
まとめ
システム開発を外注することは、専門スキルの即時確保や開発スピードの向上、最新技術への対応など多くのメリットをもたらします。一方で、コミュニケーションコストや仕様変更時の追加費用、ベンダー依存などのデメリットも理解しておく必要があります。外注を成功させるには、複数社の見積もり比較、保守体制の確認、実績の見極めが欠かせません。
自社の課題に合ったパートナーを選ぶことで、システムの品質とプロジェクトの成功率を高められます。信頼できる開発会社との連携が、DX推進や業務改革を実現する鍵となります。
