
PythonでWebスクレイピングを行う方法を解説|安全に実施するポイントは?
Webサイトから必要な情報を自動で取得できる「スクレイピング」は、業務効率化やデータ収集の強力な手段として注目されています。
中でもPythonは、豊富なライブラリとシンプルな構文により、スクレイピングの実装に最適な言語です。
本記事では、初心者にも分かりやすいPythonの基本的なスクレイピング方法から、動的ページに対応したSeleniumの使い方、法的リスクを避ける注意点まで丁寧に解説します。
Webスクレイピングとは
Webスクレイピングとは、Webサイト上の公開情報を自動で取得し、必要な形式に加工・保存する技術のことです。
特定の商品の価格、ニュース記事、企業情報など、通常ブラウザで目視確認する内容をプログラムで取得することで、情報収集の効率化を図れます。
スクレイピングはPythonなどのプログラミング言語を使って実装されることが多く、業務自動化やリサーチ、データ分析の基盤として広く活用されています。ただし、情報取得の対象や方法によっては法的・倫理的な配慮が必要になるため、正しい知識と運用が不可欠です。
スクレイピングは違法ではない
Webスクレイピングは「違法」という誤解を受けやすい技術ですが、原則として日本国内においてスクレイピング行為そのものが直ちに違法になるわけではありません。
公開されている情報を取得すること自体に問題はなく、目的や取得方法、対象サイトの利用規約に違反していなければ合法的に利用できます。
ただし、著作権や不正アクセス禁止法、サイトへの過度な負荷などを考慮する必要があります。特に商用目的や大量データの取得では、明示的な許諾を得たり、APIの利用を検討するのが安全です。
安全にスクレイピングを実施する方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。
スクレイピングは違法?安全に実施するための対策とおすすめサービスを紹介
PythonでWebスクレイピングを始める方法
Pythonを使ったWebスクレイピングは、初心者でも比較的取り組みやすく、実用性の高い技術です。ここでは、Pythonでスクレイピングを実装する基本的な手順を3ステップで紹介します。
- ライブラリをインストール
- Webページのダウンロード
- HTMLを解析し要素を抽出
合わせて、サンプルコードも掲載しているので、すぐに試すことができます。
1.ライブラリをインストール
まずは、スクレイピングに必要なライブラリをインストールします。ここでは、Webページを取得するための「requests」と、HTMLを解析するための「BeautifulSoup」を使用します。
pip install requests beautifulsoup4 |
これで準備は完了です。仮想環境を使っている場合は、必要に応じてvenvやpoetryなどの環境管理も併用すると良いでしょう。
2.Webページのダウンロード
次に、対象となるWebページのHTMLを取得します。ここでは例として「https://○○○○.com」のトップページを取得するコードを紹介します。
import requests url = “https://○○○○.com”response = requests.get(url) # ステータスコードを確認if response.status_code == 200: html = response.text print(“ページの取得に成功しました”)else: print(“ページの取得に失敗しました(ステータスコード:”, response.status_code, “)”) |
このコードでは、WebページにアクセスしてHTML全体をhtml変数に格納しています。ステータスコードのチェックを加えることで、エラー時の対応も可能になります。
3.HTMLを解析し要素を抽出
HTMLを取得したら、BeautifulSoupを使って目的の情報を抽出します。たとえば、ページ内のすべての見出し(<h2>タグ)を取得する場合は、以下のようなコードになります。
from bs4 import BeautifulSoup soup = BeautifulSoup(html, ‘html.parser’) headings = soup.find_all(‘h2’) for i, h in enumerate(headings, 1): print(f”{i}: {h.text.strip()}”) |
このコードでは、ページ内の<h2>要素をリストとして取得し、それぞれのテキストを表示しています。strip()を使うことで、余計な改行や空白も取り除かれます。
【応用編】Seleniumを使ってスクレイピングを行う方法

JavaScriptで生成された情報や、ログイン・クリックなどの動作が必要なページをスクレイピングするには、Seleniumの活用が有効です。Seleniumはブラウザ操作を自動化できるツールで、表示後のHTMLを取得できるため、動的なWebページのデータ収集にも対応できます。ここでは、PythonとSeleniumを使った基本的なスクレイピングの手順をご紹介します。
1.Seleniumをインストール
まずはSeleniumをインストールし、ブラウザ操作用のWebDriverを準備します。ここではChromeを使用します。
pip install selenium |
次に、ChromeDriver をダウンロードし、Pythonコードから呼び出せるパスに配置します(例:/usr/local/binなど)。バージョンは使用中のChromeと一致させてください。
3.ヘッドレスブラウザを操作
GUIを表示しないヘッドレスモードでChromeを起動し、Webページを開くコードは以下の通りです。
from selenium import webdriver from selenium.webdriver.chrome.options import Options options = Options() options.add_argument(‘–headless’) # ヘッドレスモードで起動 options.add_argument(‘–disable-gpu’) # GPUを無効化(任意) driver = webdriver.Chrome(options=options) driver.get(“https://○○○○.com”) |
このコードにより、画面を表示せずにWebページを読み込むことができます。サーバー環境やスケジュール実行でも活用しやすくなります。
4.ページデータの読み込み
JavaScriptで生成されるデータがある場合、ページが完全に読み込まれるまで待つ処理が必要です。以下のようにWebDriverWaitを使うと、安全にデータを取得できます。
from selenium.webdriver.common.by import By from selenium.webdriver.support.ui import WebDriverWait from selenium.webdriver.support import expected_conditions as EC # 特定の要素が表示されるまで最大10秒待つ try: element = WebDriverWait(driver, 10).until( EC.presence_of_element_located((By.TAG_NAME, “h1”)) ) print(“ページの読み込み完了”) except: print(“読み込みに失敗しました”) |
この処理によって、必要なデータが揃う前に解析を開始してしまうトラブルを防げます。
5.ページを解析しデータを抽出
読み込んだHTMLを取得し、BeautifulSoupと組み合わせてデータを抽出することも可能です。
from bs4 import BeautifulSoup html = driver.page_source soup = BeautifulSoup(html, ‘html.parser’) titles = soup.find_all(‘h1’) for t in titles: print(t.text.strip()) driver.quit() # ブラウザを終了 |
このように、Seleniumで取得したページの内容をBeautifulSoupで解析することで、複雑な構造のページからも柔軟に情報を抽出できます。
Pythonでスクレイピングを行うメリット
Pythonはシンプルな文法と豊富なライブラリ群により、Webスクレイピングに最適な言語として広く活用されています。
特に「requests」や「BeautifulSoup」「Selenium」などの定番ライブラリを使えば、数行のコードで効率的に情報を取得・処理できます。
また、取得したデータを「pandas」や「openpyxl」などで分析・Excel出力するなど、後続の処理まで一貫して対応できるのもPythonの強みです。Pythonは学習コストが比較的低いため、非エンジニアの業務担当者でも取り組みやすく、社内の情報収集業務の自動化にも大きく貢献します。
Pythonでスクレイピングを行う際の注意点
Pythonでスクレイピングを行う際は、技術的な実装だけでなく、法的・倫理的な観点からも注意が必要です。スクレイピングは便利な手法ですが、対象サイトのルールや社会的な影響を無視して行うと、思わぬトラブルにつながる可能性があります。以下では、実施前に必ず確認・配慮すべき3つのポイントを紹介します。
- 利用規約を必ず確認する
- 訪問先のサーバーに負荷をかけないよう配慮する
- 個人情報や著作権の扱いに注意する
利用規約を必ず確認する
Webサイトには独自の利用規約があり、多くの企業サイトではスクレイピングを明確に禁止しています。特に商用利用を前提とする場合や、大量のデータ取得を想定する場合は、利用規約の確認が不可欠です。
スクレイピングが許可されていないサイトから情報を取得すると、著作権侵害や不正アクセスとみなされるリスクがあります。
スクレイピングを禁止しているサイトとその見分け方については、以下の記事で詳しく紹介しています。
訪問先のサーバーに負荷をかけないよう配慮する
スクレイピングでは、サーバーに繰り返しアクセスすることになるため、頻度や同時接続数を制御しなければ、対象サイトに過度な負荷をかけてしまうことがあります。
短時間に大量アクセスをすると、IPブロックされたり、迷惑行為とみなされる可能性があります。リクエスト間に適切な待機時間を設ける、ユーザーエージェントを明示するなど、マナーを守った実装が重要です。
個人情報や著作権の扱いに注意する
スクレイピングで取得する情報の中には、個人名や画像、記事コンテンツなど、著作権や個人情報保護の対象となるデータが含まれる場合があります。これらを無断で収集・再利用することは、法的責任を問われる可能性があります。
あくまで「公開情報」であっても、再利用の範囲や方法に注意が必要です。データを二次利用する際は、著作権法や個人情報保護法などの関連法令を確認し、適切に取り扱いましょう。
安全かつ高精度なスクレイピングは「シルク・ラボラトリ」にご相談ください

Pythonでのスクレイピングは非常に有用ですが、対象サイトの構造変更やアクセス制限、法的リスクへの対応など、継続的な運用には専門的な知識とリソースが必要です。そうした課題を解決するのが、シルク・ラボラトリのスクレイピングサービスです。
自社開発の「シルク・クローラー」を活用し、安定・高精度な情報収集システムを多数提供しています。技術だけでなく、法的・倫理的配慮を踏まえた運用設計まで含めたトータル支援が可能です。
「シルク・クローラー」の強み
「シルククローラー」は、シルク・ラボラトリが開発した高性能Webクローラーです。さまざまなWebサイトに対応できる柔軟な構造を持ち、大量データの取得や更新検知、構造化データの生成など、ビジネスに必要な機能を標準搭載しています。
API連携やカスタム設定にも対応しており、自社のワークフローに合わせた拡張も可能です。シンプルなUIで管理・監視が行えるため、エンジニア以外の方でも運用しやすいのが特長です。
まとめ
Pythonを活用したWebスクレイピングは、情報収集の効率化に大きく貢献する手段です。requestsやBeautifulSoup、Seleniumなどのライブラリを活用すれば、初心者でも基本的な自動化が可能です。一方で、法的リスクや技術的な障壁もあるため、本格的な運用には専門的なサポートが不可欠です。安全かつスケーラブルなスクレイピング環境を構築したいとお考えの方は、ぜひ「シルク・ラボラトリ」へご相談ください。