ビッグデータの活用法を5社の事例で紹介!収集・解析を依頼できるサービスは?

ビッグデータは膨大で多様な情報を分析し、顧客理解の向上や新しいビジネス機会の発見につなげられる重要な資産です。

本記事では、ローソンやスシローといった大手企業のビッグデータ活用事例を紹介し、サービス品質の向上や新商品の開発、経営判断の高度化など、具体的なメリットを解説します。合わせて、IoTやスクレイピングを活用した収集方法、収集から分析・施策設計・効果検証までのステップも紹介します。この記事を参考に、効果的なビッグデータ活用を進めていきましょう。

ビッグデータとは?

ビッグデータとは、従来の手法では処理や分析が難しいほど大量かつ多様な情報の集合を指します。近年はスマートフォンやSNS、IoT機器の普及により、膨大なデータが日々生成されています。

これらのデータは単なる数値やテキストにとどまらず、画像・動画・位置情報など多岐にわたります。企業はビッグデータを収集・解析することで、顧客ニーズの把握や需要予測、新規事業の開発などに活用できます。そのため、ビッグデータは単なる情報ではなく、ビジネスの成長を左右する重要な資産として注目されています。

ビッグデータを構成する要素

ビッグデータとは、従来のシステムでは処理が難しいほど膨大で多様なデータ群を指します。その特徴は「3V」と呼ばれ、

  • データ量(Volume)
  • 生成速度(Velocity)
  • 多様性(Variety)

に集約されます。さらに近年では、正確性(Veracity)や価値(Value)を加えた「5V」で語られることも多いです。

例えばSNS投稿や購買履歴、IoT機器から得られるセンサーデータなどが代表例です。これらの情報を整理・分析することで、顧客行動の予測や新たな市場ニーズの発見につながり、企業の競争力を高める重要な資産となります。

ビッグデータを活用した企業の事例

実際にビッグデータを活用し、新たな価値の創造や売り上げアップを実現させた企業の事例を紹介します。

  • 【小売業】LAWSON
  • 【飲食業】スシロー
  • 【EC業】楽天
  • 【古物商】メルカリ
  • 【教育関連】ベネッセ

それぞれ、詳しくみていきましょう。

【小売業】LAWSON

ローソンは日本マイクロソフトと協業し、売場や店舗運営の改善を目的として「店舗運営支援AI」の実証実験を行いました。

店舗内のカメラ・マイクで取得したデータ(来店者数、棚の接触時間、滞留時間など)をPOSデータや会員データと組み合わせ、売場レイアウトや販促物の設置などを最適化します。こうした取り組みによって、個店ごとに「お客様にとって買いやすい売場」を実現し、売上および利益の向上を図っています。

参考:LAWSON_ニュースリリース

【飲食業】スシロー

スシローは回転すしレーンの全ての寿司皿にICタグを導入し、ネタがいつどの店舗でどれだけ流れ、どのくらいの時間レーンを回っていたか、いつ注文されたかといった情報を収集しています。

これにより、商品の供給・発注を需要予測に基づいて鮮度管理を行い、廃棄ロスの75%削減を実現しました。年間10億件を超えるビッグデータを分析して、店舗運営とオペレーション効率化に活用しています。

参考:総務省_ビッグデータ活用の注目事例

【EC業】楽天

楽天は「Rakuten AIris」というマーケティングソリューションを開発し、約9,700万の楽天IDが持つ消費行動データを活用しています。

購買傾向や価格敏感度、楽天グループ内のサービス利用履歴など多様な属性を分析し、購買実績がない層のなかから購買見込みがあるユーザーを予測する「拡張ターゲティング (Target Prospecting)」機能を提供しています。これにより、広告配信の精度が向上し、広告効果の改善につながっています。

参考:楽天株式会社_ニュースリリース

【古物商】メルカリ

メルカリは、フリマアプリの出品情報、コメント、商品の状態など膨大な二次流通市場のデータを収集・保管しています。

研究目的に限り、このデータを大学などに無償で提供する「メルカリデータセット」を通じて、商品の流通期間や価格変動、消費者の行動心理といった分析が行われています。また、社内ではツールを整備して各部門がデータを使いやすくする仕組み(データインタフェース、標準テーブル群など)を構築し、データ利活用のスピードと精度を高めています。

参考:メルカリ_プレスリリース

【教育関連】ベネッセ

ベネッセは、DX戦略の一環として「データ利活用」を重視しており、小中高校の学習記録データなど、約260万人分の「学びのビッグデータ」を分析しています。

デジタル教材やサービスから得られる学習履歴をもとに、生徒の得意・不得意や学びの進み具合を可視化し、個別最適な教材設計や指導のあり方に反映しています。また、教育研究所と協力し、このデータを使って将来の到達度予測や学習効果の検証を行う研究も進めており、教師や保護者向けにもフィードバックを行っています。

参考:ベネッセ_ビッグデータの利活用で一人ひとりが自ら学び続けられる世界を実現。

ビッグデータを活用するメリット

ビッグデータを効果的に活用することで、企業は顧客理解の精度を高め、競争力を強化することができます。これまで経験や勘に頼っていた判断も、データを根拠とした裏付けによって精度が向上し、業務効率や成果につながります。特にサービス業では顧客満足度の向上、製造業では開発スピードの改善、小売業やECでは購買傾向に応じた在庫最適化など、あらゆる業種でメリットを享受できます。

ここでは、ビッグデータを活用することによる代表的な3つのメリットを紹介します。

サービスの質を向上させる

ビッグデータを活用すると、顧客の行動や利用状況を詳細に把握できるため、サービスの改善につなげられます。

例えばECサイトでは、閲覧履歴や購買履歴をもとにしたレコメンド機能を強化することで、一人ひとりに合った提案が可能になります。また、コールセンターの問い合わせ内容を分析することで、顧客が不満を抱きやすいポイントを特定し、サービス全体の品質向上へとつなげられます。

こうした取り組みは顧客満足度の向上に直結します。

商品・サービス開発プロセスを効率化できる

従来の開発では、市場調査やテストマーケティングに多くの時間とコストが必要でした。しかし、ビッグデータを活用することで、消費者の嗜好や行動パターンをリアルタイムに把握でき、ニーズを反映した商品やサービスをスピーディーに開発できます。

SNSでのトレンドやレビュー分析を通じて、顧客の潜在的な要望を抽出することも可能です。

その結果、開発の手戻りを減らし、競合より早く市場に投入する体制を整えることができます。

データドリブンな経営判断ができる

ビッグデータの最大の強みは、経営判断を感覚や経験に頼らず「データに基づいて行える」点にあります。

販売実績や顧客データ、外部環境データを統合的に分析することで、需要予測や在庫管理、広告投資の最適化が可能です。例えば、購買データを地域別に分析すれば、店舗ごとの品揃えを最適化でき、無駄な在庫を減らすことができます。

データに裏打ちされた判断は、経営のスピードと精度を高め、リスクを最小化する効果をもたらします。

ビッグデータを収集する方法

ビッグデータを活用するためには、まず大量のデータを効率的に集める仕組みが必要です。

収集方法は業種や目的によって異なり、センサーやIoTデバイスを使って現場からリアルタイムに情報を取得するケースもあれば、Web上の情報を自動的に集める手法もあります。適切な収集手段を選ぶことで、分析に活用できるデータの幅と質が大きく向上します。

IoTシステム開発

IoTシステムを活用したデータ収集は、製造業や物流業などで特に注目されています。

工場の機械やトラックにセンサーを設置することで、稼働状況や位置情報、温度や湿度といった環境のビッグデータをリアルタイムで取得できます。これにより、生産効率の改善や品質管理の高度化、さらには異常検知によるトラブル回避が可能になります。

IoTを組み込んだシステム開発は、現場の見える化を実現し、経営判断に役立つデータ基盤を構築できる点が大きな特徴です。

IoT開発を実施する手順については、以下の記事で詳しく紹介しています。

IoT開発の始め方|基礎知識から具体的な手順、開発事例まで徹底解説

スクレイピング

スクレイピングは、Webサイト上に公開されている膨大な情報を自動で収集する方法です。

例えばECサイトの商品価格、口コミサイトのレビュー、SNSの投稿内容などを効率的に収集できます。人手では膨大で把握しきれないデータを自動で取り込めるため、競合調査やトレンド把握、市場分析に役立ちます。

ただし、スクレイピングには著作権や利用規約などの法的リスクも伴うため、事前にルールを確認し、適切に運用することが重要です。

ビッグデータの収集方法は、以下の記事で詳しく紹介しています。

ビッグデータの収集方法とは?Webスクレイピングによるメリットを紹介

ビッグデータ収集から活用までのステップ

ビッグデータを効果的にビジネスに生かすには、データをただ集めるだけでは不十分です。

目的に応じた仮説を立て、収集・分析・施策設計・効果検証というプロセスを踏むことで、初めて具体的な成果につながります。活用までの流れを以下の4ステップに分けて紹介します。

  1. 仮説に基づいたビッグデータ収集
  2. 収集したビッグデータの分析
  3. 分析結果に基づいた施策設計
  4. 効果検証と改善

各ステップごとに、詳しく解説します。

1.仮説に基づいたビッグデータ収集

まずは「顧客満足度を高めたい」「在庫を最適化したい」など、ビジネス課題に基づいた仮説を立てることが重要です。その仮説をもとに必要なデータを決定し、IoTやWebからのスクレイピングなど適切な方法で収集します。

闇雲に情報を集めるのではなく、狙いを定めることで無駄を省き、分析に活かせるデータを効率的に得ることができます。

2.収集したビッグデータの分析

収集したデータは、統計手法やAIを活用して分析を行います。例えば、購買データと顧客属性の相関を調べれば、顧客の行動パターンを把握できます。

ビッグデータの分析結果を実際の業務に活かすには、分析システムのレスポンスの速さや、グラフで可視化するといった見やすさも重要です。収集から分析まで一貫したシステムの開発は、シルクラボラトリのような専門サービスに依頼することで精度と効率を高められます。

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3.分析結果に基づいた施策設計

ビッグデータ分析から得られた知見をもとに、実際のビジネス施策を設計します。

例として、購買傾向を踏まえた新商品の投入や、顧客セグメントごとのキャンペーン設計などが挙げられます。重要なのは、分析結果を現場で実行可能なアクションに落とし込むことです。経営層だけでなく現場スタッフも理解できる形にすることで、施策の浸透と実行力が高まります。

4.効果検証と改善

施策を実施した後は、その効果を数値で検証することが不可欠です。

売上の増加やコスト削減といった成果だけでなく、顧客の反応や行動の変化を確認し、仮説が妥当だったかを評価します。結果を次の施策にフィードバックすることで、データ活用の精度はさらに向上します。

このサイクルを繰り返すことで、継続的に事業成長を実現できる仕組みが構築されます。

データ収集・解析に強いシステム開発は「シルク・ラボラトリ」

ビッグデータを効果的に活用するには、データの収集はもちろん、分析のしやすさまで考慮したシステム作りが重要です。

シルク・ラボラトリでは、IoTやWebスクレイピングを活用したデータ収集からハイスピードな分析、グラフなどの可視化データの作成まで一貫したサポートが可能です。

自社に専任のデータサイエンティストがいない場合でも、専門家の知見を取り入れることでスピーディーに成果へとつなげられます。

まとめ

ビッグデータは顧客理解の深化や業務効率化、新たな事業機会の発見など、あらゆる分野で企業の競争力を高める資産です。実際にローソンや楽天など多様な業界で成果を上げた事例からも、その有効性が明らかになっています。

しかし、データの収集から分析、施策設計、検証までを社内だけで完結させるのは容易ではありません。専門サービスを活用すれば、短期間で実践的な仕組みを整えることができ、持続的な成長につながります。

ビッグデータを戦略的に活用する第一歩として、豊富な開発実績を持つシルク・ラボラトリへの相談を検討してみてはいかがでしょうか。

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